ベルマーレビッグウェーブというアンセム

東日本大震災が起こってから、選手入場時、そして勝利のあとに選手を迎えるときに歌っていたベルマーレサポーターにとってのアンセムベルマーレビッグウェーブを歌うのを自粛していた。
昨シーズンの間にも、復活させようという機運が高まったことがあったと聞いているが、結局復活しないまま今シーズンが始まった。
それが、昨日の岐阜戦から復活した。
タオルマフラーを回しながらWe Love Shonanを歌って選手を迎えるのも悪くないが、やはりタオルマフラーを掲げてベルマーレビッグウェーブを歌って選手を迎えるのが、ベルマーレサポーターの本当の姿なんだなと改めて思った。

選手入場時のベルマーレビッグウェーブを聞いて、目頭が熱くなった。
そして、勝利のあとはベルマーレビッグウェーブで選手を迎えて、勝利のダンスを踊る、それがベルマーレサポーターの喜びなんだと、改めて思った。


ビッグウェーブを歌うことについて、試合前のサポーターミーティングで話し合った。
参加したサポーターの大半がベルマーレビッグウェーブを歌いたい、といういう意見だったが、その中でも慎重な意見を出した方が数名いた。
私は、その慎重な意見を述べた方をリスペクトする。
多くの方の意見に、反するというほどではないかもしれないけど、あえて慎重な意見を述べることには、勇気が必要だったと思うし、そのような慎重な意見が出てきたからこそ、ベルマーレビッグウェーブを歌うことの意味について、深く考えることができたと思う。
被災された方がいることを思いながら、誇りと強い意志を持ってベルマーレビッグウェーブを歌う、そういう結果になったのは、彼らがいたからだと思う。

東日本大震災以来の1年間の自粛、そして、復活させるための話し合いを経たことで、ベルマーレビッグウェーブベルマーレサポーターにとって、真のアンセムになったのではないだろうか。
ベルマーレビッグウェーブを歌うたび、聞くたびに、1年間の自粛と復活のための話し合いのことを思い出すだろう。

EFSが掲げたこの横断幕を見て、私はそう思った。

シーズンチケットの購入率に関する研究論文

日本スポーツ産業学会というところが発行している「スポーツ産業学研究」という雑誌に興味深い論文が掲載されている。

庄子 博人, 間野 義之, 中村 好男. Jリーグシーズンチケット購買率の距離減衰率と競合クラブの関係性 . スポーツ産業学研究. 2011, Vol. 21, No. 2, p.207-215 .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/sposun/21/2/21_207/_article/-char/ja/

同じ府県内にあるJリーグの競合クラブのシーズンチケット購入率についての研究論文で、同じ神奈川県内にある湘南ベルマーレ横浜Fマリノス大阪府内にあるガンバ大阪セレッソ大阪を、題材として取り上げている。
ベルマーレとFマリノスの比較はある程度覚悟はしていたが、とても厳しい結果になっている。

横浜FMと湘南の場合,前者の購買率は,後者と比べて神奈川県全体に広く緩やかに分布し,湘南のホームスタジアムである平塚競技場近辺でも購買者を獲得している.一方,湘南の購買率は,ホームスタジアム近辺の購買率が高く,競合クラブである横浜FM方面では急激に低下しており,日産スタジアム近辺では購買者をほとんど獲得していないことが明らかである.

とのこと。
この論文は上記URLから誰でも読むことができるので、詳細は上記の論文を読んでいただきたい。
特に、ベルマーレの関係者には是非読んでもらいたい。
そして、神奈川県内で他のクラブとの競合していかなければならないなかで、どこに活路を見いだすのかの参考にしていただきたい。

平塚競技場のネーミングライツスポンサー募集開始

平塚市平塚競技場ネーミングライツスポンサーの募集を開始した。

神奈川県 平塚市|記者発表資料 8月定例市長記者会見 「平塚競技場」のネーミングライツスポンサーを募集
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/press/pre20110146.htm

募集要領等詳細の資料は下記に掲載されている。

神奈川県 平塚市|行政 ☆ネーミングライツ
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/gyokaku/naming-rights.htm

新聞報道が2件なされている。

平塚競技場命名権者募集、金額は年2000万円以上/神奈川:ローカルニュース : ニュース : カナロコ -- 神奈川新聞社
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1108180040/

東京新聞:命名権スポンサーを募集 平塚競技場:神奈川(TOKYO Web)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20110819/CK2011081902000026.html

ネーミングライツの導入はこれまでも市議会でも話題になっていたし、ベルマーレのクラブカンファレンスでも何度か質問が出ていたので、ようやく市が動いたか、というのが第一印象である。
ところが調べてみると、大蔵前市長時代に立案された「ひらつか協働経営プラン2011」にネーミングライツの導入が新規事業として記載されている。多分、このプランに基づいて今回募集が行われたのだろう。

神奈川県 平塚市|記者発表資料 新年度に向け行政改革実施計画を見直し 「ひらつか協働経営プラン2011」(案)にご意見を伺います
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/press/pre20100214.htm

神奈川県 平塚市|行政 行財政改革
http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/gyokaku/index.htm

正直、ネーミングライツ自体がなかなか難しい状況になってきているとおもうので、厳しいとは思うけど、せっかく募集をかけるのだから、是非とも成功させて欲しい。

しかし気になる点もあるので、2点ほど述べさせていただく。

略称について

募集要項のなかで気になったのは略称について。
募集要項にこのようにある。

イ 愛称に使用する文字数は35字以内、略称は4字以内としてください。
(中略)
オ 略称には「平塚」を入れてください。
(略称とは、Jリーグ等が施設名称を短縮して表記する際に用いる名称のこと)

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/shared/000061593.pdf

2文字が「平塚」で指定されているなかで、4文字の略称というのは相当難しいと思う。
Jリーグのサイトのスタジアム一覧に、正式名称と略称が併記されているが、これを見ると、ネーミングライツを導入しているスタジアムで略称に地名が入っているケースは無いと言っていいだろう。*1

Jリーグ公式サイト:スタジアムガイド
http://www.j-league.or.jp/stadium/

略称は選考の際の評価の対象外ではあるが、もう少し条件を緩めた方が良いのではないだろうか。

ネーミングライツで得た収入の使い道

やっぱり気になるのは、ネーミングライツ収入がどのように使われるのかだ。
記者会見で次のような質疑がなされている。

Q記者:売り上げはどこに入るのか?

A市長:一般財源です。

Q記者:ベルマーレにはまったく入らないのか?

A市長:はい。市の一般財源ということで、ベルマーレの方には入るということはありません。

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/press/pre20110146.htm

市のネーミングライツなので、当然ベルマーレに入るものではない。
しかし、ベルマーレのホームスタジアムだからこそ、競技場としてのステータスがあり、ネーミングライツを導入できるのだろう。
であるなら、ネーミングライツで得た収入は、全部とは言わないが、その一部は平塚競技場の環境改善や、スタジアム使用料やオーロラビジョン使用料などの減免でベルマーレへの還元を考えて欲しい。
一般財源に組み込まれるとしても、ベルマーレのホームスタジアムだからこそ得られた収入だということを、市には認識してもらいたい。

*1:鳴門大塚のように判断に迷う例もあるが

可能性がある限り最後まで戦え! だけでなく

シーズンのちょうど半分が終わったところでこの順位、この勝ち点。
可能性が無くなったわけでは無いけど、昇格と言うにはだいぶ厳しい状況である。

もちろん、自分も昇格をあきらめていない。昇格をめざして応援している。
でも、それがかなり厳しくなった状況から目をそらしてもいけないと思う。

可能性がある限り昇格をめざして戦う、というのは当然ではあるが、その可能性が無くなったときにどうするのかを考えていかなければならない時期でもある。


昇格の可能性が無くなったとき、チームは、選手は、何をめざして何のために戦うのか。

プロである限り、どんな状況であっても自分のために戦うべきだ。それがプロの選手だ。
と思う。

でも、今のベルマーレの選手が、そそれだけのモチベーションを自分で保てる選手ばかりだとは思わない、いやそういう選手は少ないだろう。
選手が自分でモチベーションが保てない場合に求められるのは、チームとしてのマネジメントだ。

しかし、これまでのベルマーレの成績を振り返って見ると、チームとしての目標がかなわなくなった場合に、チームとして戦うモチベーションを保つことのできたことは、残念ながらほとんど無い。
昇格に最後まで絡んだ20070年・2008年シーズンを除けば、それができたのは2002年シーズンぐらいだろう。
それ以外のシーズンは、ほとんど失速したままで、立て直すことはできずにシーズンを終えている。

応援してくれるサポーターのために戦う。

選手はそう言うかもしれない。
しかし思い出して欲しい、昨シーズンのことを。
昨シーズンの最後、選手はサポーターのために本当に戦ったのだろうか。
新潟でのあの屈辱的な試合を忘れることはできない。

今シーズンをそのような形で終わらせてはならない。
そのようなことになったら、またJ2の中位〜下位に低迷するシーズンを何度も繰り返すことになる。

サポーターのために戦う、というようなお題目で無く、何のために何を目標に戦うのか、チームは、選手は、しっかりと持って欲しい。
同じことを繰り返さないためにも。

俺たちの祐也!

昨日の千葉戦、7試合ぶりの勝利ということに加え、これまでの7試合はいったい何だったんだ、と思うぐらい内容的にも充実していた。
こういう試合を今後も続けて欲しい。

その中で自分が一番しびれたのは祐也のゴール。
オフサイドぎりぎりのところから飛び出して、キーパーと1対1を落ち着いて決めたゴール。
まさに祐也ならではゴールだ。
2009年シーズンの札幌ドームでのゴールを思い出した。
あの試合を現地で観戦した自分にとっては、あの試合の俺たちの祐也が帰って来た、そんな感じだ。
正直、昨シーズンの祐也には不満が残ったが、このゴールを機に、あの2009年シーズンと同じような活躍をしてもらいたいと期待している。


この↓写真、いいなぁ。

J's GOAL | フォトニュース | [ J2:第21節 湘南 vs 千葉 ]
http://www.jsgoal.jp/photo/00079800/00079888.html

「湘南ベルマーレが地域にもたらす効果」の講演

昨日のクラブカンファレンスの中で開催された日本経済研究所の小原爽子研究員による講演「湘南ベルマーレが地域にもたらす効果」がとても興味深かった。

「第22回ベルマーレクラブカンファレンス」にて特別講演追加決定のお知らせ « 湘南ベルマーレ公式サイト
http://www.bellmare.co.jp/36072

講師の小原研究員のプロフィールは下記をご参照ください。

小原 爽子 / 研究員紹介 / 日本経済研究所について / 株式会社 日本経済研究所
http://www.jeri.co.jp/about/solution/solution_05.html

今回の講演は、ベルマーレが依頼した調査の結果に基づくものである。
数年前に、Jリーグが同様の調査を日本経済研究所に依頼し、13クラブについて調査が行われたとのこと。
それと同様の調査をクラブが主体となって依頼したものだが、他のクラブについて実施した調査がベースにあるので、客観性のある結果であると眞壁社長は述べていた。

小原研究員の講演のすべてをここで述べるつもりは無いが、結論的なところを私なりにまとめると、次のようになる。

湘南ベルマーレは地域に対して経済効果だけで無くコミュニティ活動などで大きな貢献をしている。
特にコミュニティ活動はJクラブの中で、他のクラブとの比較にならない突出した活動を行っている屈指のクラブである。
しかし一方では、その貢献に見合うだけの支援を地域から受けていないし、その貢献の度合いを地域やサポーターがあまり認識していない。
その貢献をアピールできていないクラブの情報発信に課題がある。
また、地域はベルマーレを十分に活用できていない。
ベルマーレをもっと活用することで、地域とベルマーレの双方に取ってメリットのあるWin-Winの関係を気づくことができるだろう。

自分たちが普段何となく思っていることを、第3者の視点でまとめてもらったという感じで、とても興味深かったし、一方で自分にとってベルマーレがやっていることがある程度当たり前と思うようになってしまったが、Jクラブの中ではすごいことをやっているんだということを再認識することができた。
1サポーターとして、ベルマーレはこれだけ地域に貢献しているんだよ、ベルマーレはこんなにすごいんだよ、ということを、もっと周りに対してアピールしなければならないと、改めて思った。

またクラブは情報発信に問題があると指摘されたことを踏まえ、この情報を充分に活用してもらいたい。
ホームタウンの首長や議員、商工会やコミュニティに対して、この情報をしっかりと発信してもらいたい。

ベルマーレというクラブにはまだまだ可能性があると感じることのできた講演会だった
なお、小原研究員がJクラブについて執筆した研究レポートのPDFが公開されている。これも興味深い内容だったので、是非ご一読いただきたい。

「Jクラブ −サッカーを超えて− 〜ソーシャルビジネスとしてのJクラブ〜(前編)(『日経研月報』2009年11月)
http://www.jeri.or.jp/membership/pdf/research/research_0911.pdf

「Jクラブ −サッカーを超えて− 〜ソーシャルビジネスとしてのJクラブ〜(後編)」(『日経研月報』2009年12月)
http://www.jeri.or.jp/membership/pdf/research/research_0912.pdf