第15回クラブカンファレンス記録-1 大倉強化部長の話

大倉強化部長の話

最初に沖縄キャンプで最初に選手たちに話した話と、監督が選手に伝えたことを紹介します。
そして最後にいただいた質問に対して話せる範囲でお話します。

僕が選手に話をするときに、こういう数字を見せました。
2000年、湘南ベルマーレに名前を変えてから2008年までの各年のJ2のゲーム数と最大勝ち点、それから1位、2位、3位のチームがとった勝ち点数をまとめた表です。昇格にからんだ3位のチームと比べてみると、2008年の3位は最大勝ち点に対して48%の勝ち点をとっている。過去3年間(2006,2007,2008)の平均が最大勝ち点に対して56%とっている。
ベルマーレの勝ち点を見てみると、過去3年の平均が44%で、3位のチームに対して12%足りないんだ、数字のこじつけですけど、こういう話をしています。
つまりまだまだ足りないということを言いたくて、こういう数字を並べました。
ここ数年はチームが昇格争いに加わっているとか言われていますが、クラブの総合力の問題として考えると、我々はまだ足りない。
これは営業もそうかも知れないし、強化部もそうかも知れない、選手もそうかも知れない。
これをスタート時点で確認したくて、こじつけかも知れないけど、12%の努力が足りない、それがないと3位には入れないという話をしました。
目標は、ここ数年言っていますように、J1昇格をすると言うことで、そのために12%の努力が足りないということをまず認識しよう、という話をし、目標を共有しています。
同時にプロの興行として我々は何を提供していかなければならないのか、お客様は何を期待しているのか、それを理解しなければ行けない。
これが全てではないが、チームの誇り、非日常の空間、日々のストレスの解消、そういったものを求めていると思う。我々は目に見えない無形の商品を売っていることを理解して欲しい。それは夢・勇気・希望である。そういう話を再度しています。

我々が謳っているチーム理念、そしてそれを実現するために掲げている目指すサッカーを我々は謳っています。

チーム理念湘南地域に住む人々に、サッカーを通して夢と勇気と希望の感動空間を提供する


目指すサッカー
常にゴールを意識した、攻守の切り替えの早い、アグレッシブなサッカー

http://www.bellmare.co.jp/bellmare/view/s.php?a=907

反町監督も、このチーム理念、目指すサッカーを理解していて、我々の軸はぶれていない。
選手たちと、12%以上の努力をする、我々は挑戦者であり、理念を追求する集団でなければならないと言うことを再度確認しました。
また、選手に求める6訓についても、新しく入ってきた選手もいるので、再確認しました。

選手に求める6訓

  1. 夢と目標をもつこと(自己実現と挑戦)
  2. 100%の集中力で練習を行うこと(本質を見失わない)
  3. 強いフィジカルコンディション(心技体)を自ら作る努力をすること
  4. 謙虚さと思いやりをもって行動すること
  5. 常に明るく元気良くすること
  6. ファンに対して温かく接すること(地域共存意識、社会貢献)
http://www.bellmare.co.jp/bellmare/view/s.php?a=907

最後に今年のスローガン「勇志湘南」には「志を遂げるため、常に勇気を持って闘い続ける集団」という意味があると言うことを伝えました。
以上が沖縄キャンプで話したことです。


次に監督が伝えたことですが、ヴィクトリーチェーンということでmotionとemotion、人に感動を与え、良い結果を導く、そのために次の5つのことが必要ということで、協調性、向上心、創造性、闘争心、自主性を謳っています。
それぞれについて、いろいろな言葉を引用しながら説明している。
その中で「向上心」について、「サッカーはミスするスポーツだ、だから挑戦しなさい」といい、アルゼンチンU-15の指導者の「ミスした後の対応が成長に繋がる」という話を具体的に示して、選手に伝えています。
「闘争心」では、監督は試合前のミーティングの最後に、試合を楽しもう、と言う言葉を示して、選手を送り出している。
こう言ったことがサッカーをする上で大事だということを伝えています。

また技術的な話として、去年の失点を分析しています。
去年の総失点48点のうち、セットプレーからの失点が18点、クロスからの失点が12点、オープンプレーのクロス以外の失点が18点あった。
このことから、セットプレーからの失点を減らす、クロスからの失点を減らす、この点に相当重きを置いています。
練習ではセットプレーの攻守の練習量が増えています。
セットプレーからのからの失点を減らさない限り、プラス12%は埋められない、というのが監督の考えです。
クロスからの失点についても、マンツーマン、ゾーンのルールを決めて、そこを徹底的にやっています。
セットプレーからの失点、クロスからの失点を減らすということを強く言っています。

以上、監督が話していることを紹介しました。


続いていただいた質問に対してお答えします。

選手関連

寺川選手と野澤選手にそれぞれ期待することは

寺川選手に関しては、反町のサッカーを知っていること、中盤で動ける選手が必要で、寺川は年齢的に35になるけどまだまだ動ける、経験も踏まえて獲得した。
野澤選手。ゴールキーパーはここ2年間金永基選手が出場してきましたが、彼にもまだまだ課題があり、競争をして欲しいということで、もう一人J1経験のある選手が欲しかった。キーパーの競争心を煽るためにとりました。キーパー陣は充実した表情でやっていると思います。

昨季限りでチームを離れたナザ選手、北島選手、川股選手の動向は?

ナザ選手はガーナに帰国しています。1回トライアウトで戻ってきましたけれど、上手くはまらずにガーナに戻ったと思います。
北島選手は3年間、選手にとっては公私にわたって、プレー以外の面でチームを助けてくれた存在。キャラクターも良かったのでベルマーレの営業としてオファーをだしたが、Jリーグエンタープライズにいった。
川股選手は一部で報道されましたが、フットサルの浦安に入る予定です。契約は交わしてないので発表できないが、フットサルに転向する方向で考えいるようです。
正式に決まりましたら、ホームページの方で発表いたしますので、よろしくお願いします。

期限付き移籍中の、鶴見、林選手の現在の状況は?

鶴見選手は、本人の意向もあって、鳥取をJ2に上げるために行ったので、もう1年チャレンジしたいということで延長した。
林選手は、当初から2年めにレンタルに出すことを考えていたので、本人の成長のことを考えて、今回鳥取に出した。*1
JFLも始まっているので、町田とやるときには、うちとホームゲームが重ならなければ、是非応援に行っていただきたい。

昨年強化指定登録をしていた三平選手はどうなるのか?

地元のユニバーシアードの代表の逸材ですので、将来的には欲しい選手。引き続き強化指定を本人にお願いしたら断られました。
うちが嫌だということではなく、自信のある選手は、色がつきたくないということで強化指定から外れる傾向がある。
今回は強化指定ではないが、うちの練習にも参加すると思うし、是非獲得したい選手です。
彼を獲得するのが我々の仕事だと思っています。

昨年練習参加していた中央大学の山形雄介選手とはなぜ契約を結ばなかったのか?

昨年山形選手は2回ほど練習に参加したけど契約を結ばなかった。
その後仙台に練習参加して、そのときに東北版のスポーツ紙に「ベルマーレ内定取り消し」みたいな記事に書かれてしまった。
実際は全くオファーは出していない。スポーツ紙には訂正記事を書かせた。
2回練習に参加してもらったが、我々の獲得する流れからすると、普通のことで、本人にもその旨は伝えた上で練習参加してもらい、その上で獲得しなかったということです。

日系ベルマーレ関連

菅野選手が短期留学したが、今後も継続的に行うのか?

3日前から留学というか、期限移籍ですね、公式戦に出られる移籍をしています。
3年前に日系ベルマーレを立ち上げたが、メリットとして、パラグアイには外国人登録が無く、行けば選手として公式戦に出られるので、若手の育成に大きく利用できるということ、そして南米の情報拠点として我々にメリットがあるということで、ベルマーレの名前を貸しました。
環境面、全国4部に入ったことなど、いろいろなことが整備されたので、今回第一弾として菅野哲也を送り出した。
本人に昨年の8月から行くように伝えていたが、なかなか同意しなかったが、送り出した。
着いた翌日にU-18のパラグアイ代表との練習試合に出て、2点取っています。
最大3ヶ月を考えている。
反町監督も日系ベルマーレを理解していて、菅野哲也は今でも試合に絡めるぐらいの力があるが、優先順位からするとなかなかチャンスは無いので、行ってきたらどうだと本人にも話をしています。
次は誰なんだとびくびくしている選手はたくさんいるが、うまく活用していたい。

なぜライバルチームである徳島の石川選手を受け入れたのか?

我々から率先して一緒に行かないかと声をかけたわけではありません。
名前は貸しているけど運営母体が違うので、徳島の方からの依頼があったので受け入れたとのこと。

日系ベルマーレパラグアイの選手がベルマーレに来ることはあるか?

2年前に18歳の選手が2人練習に来た。
南米のチームは入れ替わりが激しいのでいろいろな選手が着ているようだが、ゆくゆくはそういう力のある選手が出てきてくれれば理想的。ただ、今4部なのでもう少しリーグが2部ぐらいまであがらないと、助っ人になる選手は生まれてこないかと思う。
指導者も含めて、ベルマーレへの入団があるようにやっていきたい。

その他強化関連

移籍金撤廃議論についての見解と検討している選手流出防止策はあるか?

FIFAルールに合わせるということなので、将来的に移籍金は撤廃されるだろう。今年なのか、来年なのかということはあるが。
2年ぐらい前からこういう話は出ているので、中心となる選手には複数年契約を打診している。
ただ非常に難しいのは、Jリーグで出場する自信のある選手は複数年契約を結ばない傾向にあります。
J2J1の格差が広がっているので、難しい。J2のチームにとっては死活問題となってくるが、核となる選手、若手選手には5、6人に複数年契約を打診し、何人かは複数年契約している。そういうことをやっていかなければならないと思っている。

トップチームとユースチームの指導者が入れ替わったが、個々に期待していることは?

反町監督はコーチに注文を出さず、クラブの事情、クラブが育ててきた人材を活かすということを理解してもらっている。
その中で反町監督の体制を上手く活かせるための体制を、今いる人材の中で出した結論が現在のトップの人材です。
浅野と古島にはユースに行ってもらったが、ユースとトップの間に垣根が無いところがうちのチームの良いところで、彼らが人材として優秀だから残って欲しいということで、ユースに行ってもらった。
そういうことも含めての総合的な判断。

監督が言うには、選手にハードワークを求めるなら、スタッフはそれ以上にハードワークすべきだ、とスタッフには非常に厳しい。
それを選手は見ているので、トップチームは良い雰囲気になっていると思う。

去年から怪我人が増えているが、その原因とその対策はどうなっているのか?

僕の認識の中では、去年・一昨年に比べてそんなに増えていないと思うが、よりよい医療体制を作らなければいけないので、理学療法士を入れた。怪我をしてドクターの治療の後、フィジカルコーチの間をつなぐ役として理学療法士を入れた。

現在怪我をしている選手の復帰はいつごろになるのか?

鈴木ノブは、試合に出られる準備はできている。
山口は、走っています。
阪田もかなりコンディションが上がっているが、大阪時代の怪我で少し怠ったのか、左右の筋肉のバランスが悪いので、二度と怪我をしないように対応をしている。
菊池はもともと持っている腰痛で、大事に至っていない。

ユースチームの今季の方針や目標は?

2005年に出したベルマーレ2015の戦略に継続してやっている。
プリンスリーグの1部にあがるのは現場的な目標ではあるが、クラブとしては、誤解を恐れずに言えばどうでもいいと思っています。
多くの選手を上に上げるのが最大の目標なので、リーグ昇格とか全国優勝とかの成績の目標はあえて立てていないということをご理解いただきたい。
新3年生に優秀な子があつまっているので、この子たちをどうするのかが大きな課題。
トップへの練習参加をさせながらやっていきたい。

会場からの質疑

セットプレーからの失点が多いのは、Jリーグの中でベルマーレが特に多いのか?

Jリーグ全体の数字は把握していないが、平均的だと思う。ただ、ここをつぶさないと上には上がれないと思っています。
バクスターがアカデミーのカンファレンスで、世界的にはセットプレーの失点が減って、攻守の切り替えからの失点が増えていると話していたので、世界的に見れば多いかもしれない。
Jリーグ全体の数字は調べてみたい。良い質問をありがとうございます。

退団後の動きがリリースされる選手とされない選手がいるが、その区別はどういう風にしているのか?

契約が完了しないとリリースを出せないので時間がかかる場合が多い。方向性だけではリリースできない。また本人の意向の場合もある。
できるだけタイムリーに発表できるようにやっていきたい。

遠藤さんより捕捉。

北島さんは新しい会社が4月からなので、現役引退も含めて4月の発表になります。

強化部の紹介

最後に後ろに立っている2人を紹介させてください。
3年前は強化部は僕1人でしたが、3名体制になりました。
昨年までいた朴が大宮に通訳としていったので、
昨年までチームの主務をやっていた小原光城に主にスカウト、外回りを担当してもらいます。
高橋和幸ベルマーレ出身選手です。昨年まで育成のコーチをやっていました。今年の育成のミッションの一つに、地域との良好なコミュニケーションづくりがあって、強化部の地域担当でコーチをしながら、地域を廻ってベルマーレのいろいろな話をしてもらいます。

以上で大倉強化部長は退席。

*1:林選手は2006年入団なので、大倉部長の勘違いだと思うが、2年めと言っていた